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二十七首 - 刻みこむその胸その肩その吐息指にからまるそのくせ髪
あおいのコイノウタ

刻みこむその胸その肩その吐息指にからまるそのくせ髪 「また会おうね」の、
「また」がないかもしれないことを私は知っている。
「また会おうね」
そう言いながら手を振り去っていった人とは、二度と会えなくなってしまったから。
誰もが
明日もここで呼吸しているとは限らない。

だから、刻みこむ。
いま、この瞬間の愛しいあなたの存在を。
強く。
強く。
忘れないために。
いつまでも覚えていられるように。

だから、刻みこんでほしい。
はかなくもろい私の存在を。
ほんの少しでも。
小さなカケラだけでも。

どうか私を忘れないでいて。
明日も、明後日も、ずっと、ずっと。

---

コラム by あおい
数年前のある日、感じた事をふとつぶやいてみたら31文字だった。
その日から、想いを表現しようとすると何故か短歌になった。
日々の些細な出来事や感じた事を短歌で表現していきたいなと思っています。
二十六首 - あと少し指をのばして触れていた逢えなくなると知っていたなら
あおいのコイノウタ

あと少し指をのばして触れていた逢えなくなると知っていたなら 気づいていた。
あなたはかけがえのない存在だって。
ずっと
ずっと前から。

だけど
臆病な私は
あと一歩が踏み出せずに
いつまでもその場に立ちつくしていた。

私の中の時間は止まっていたけど、
いつの間にか
周囲は当然のように動いていて、
気づけば
あなたははるか遠くの彼方。

今さら悔やんでも仕方のないことだけれど
あと一歩踏み出せていたら
もう少し指をのばせていたなら
あなたは
振り向いてくれたのだろうか。
立ち止まってくれていたのだろうか。

今さら悔やんでも仕方のないことだけれど。

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コラム by あおい
数年前のある日、感じた事をふとつぶやいてみたら31文字だった。
その日から、想いを表現しようとすると何故か短歌になった。
日々の些細な出来事や感じた事を短歌で表現していきたいなと思っています。
二十五首 - 触れること願い続けたその背中頬寄せるのは見知らぬひと
あおいのコイノウタ

触れること願い続けたその背中頬寄せるのは見知らぬひと いつか友達から恋人になれると思っていた。
だってこの7年間、一番そばにいたのは私だったのだから。

私だって最初は友達だと思っていた。
けれど、ある瞬間、神様の悪戯としかいえない仕業によってあなたは私の特別な存在になってしまった。

でもそんな感情はおもてに出さないよう心がけ、
今まで通り、
共に笑い、共に時間を過ごしてきた。

でもね
気づいていたことがある。
あなたは
ほんの少しも私に触れようとしなかった。
冗談言って笑っても、肩を叩くことさえなかった。

ふたりでいても
「友達」としての壁を感じていた。

恋人ができたとその唇が告げたとき、
私の中で何かが崩れた。

いつか友達から恋人になれると思っていた。

その気持ちと、つみ重ねてきた7年間が音をたてて崩れていった。

「おめでとう」
口では言っても、私の目は見えないこれからを探していた。

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コラム by あおい
数年前のある日、感じた事をふとつぶやいてみたら31文字だった。
その日から、想いを表現しようとすると何故か短歌になった。
日々の些細な出来事や感じた事を短歌で表現していきたいなと思っています。
二十四首 - 茜空伸びる君の影法師寄り添う蜻蛉が羨ましくて
あおいのコイノウタ

茜空伸びる君の影法師寄り添う蜻蛉が羨ましくて 校門へ向かう彼の影は長く伸びていて、ほんの少し手を伸ばせば触れられそうだった。
けれど私にはそんな勇気はなくて、離れた位置でただただ俯いて歩いていた。
そんな私の心など知るはずもない蜻蛉は、雌雄が仲良く寄り添いながら飛び回っている。

私は、彼をどう想っているのだろう。

友人になりたいのか。
恋人同士になりたいのか。
クラスメイトのままでいたいのか。

声をかけることすらできない私。

私の思考とシンクロするように、蜻蛉は相変わらずくるくると空中を舞っている。

くるくるくる。
くるくるくる。

夏の名残の暑さとあいまって、私の思考もとろけた沼に沈みこんでいく。

どんなに自分を隠したって。
どんなに自分をごまかしたって。
私は彼のことが好きなのに。

わずかな一歩も踏み出せない弱気な私が
情けなくて情けなくて
このまま消えてしまいたかった。
溢れ出そうな涙をこらえるのが精一杯だった。

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コラム by あおい
数年前のある日、感じた事をふとつぶやいてみたら31文字だった。
その日から、想いを表現しようとすると何故か短歌になった。
日々の些細な出来事や感じた事を短歌で表現していきたいなと思っています。
二十三首 - 肩並べふたりで歩く波打際指先ざらり別れの予感
あおいのコイノウタ

肩並べふたりで歩く波打際指先ざらり別れの予感 水平線に陽は沈み、
東の空から紫色の夕暮れがやってくる。

はるか遠くの国からやってきた波たちは
砂浜に触れて白い泡のかたまりとなり消えていく。

ふたりで歩く波打際。
去年も一昨年も、ずっとこうして歩いてきた。
そして明日も明後日も続いていくはずの時間と海原。

サンダルの指先から入りこんでくる、小さな砂の粒子たち。
その粒子たちが私の心をざわつかせる。
なんだかとても不安にさせる。

ふたりの刻む時計が止まってしまうような。
ふたりの道が別々に離れてしまうような。

その不安を否定したくて、
あなたの左手を強く握りしめてみる。
でもあなたは黙ったまま、
前を見て歩み続ける。

ねぇ、お願い。
こっちを向いて笑ってみせてよ。
私の不安は杞憂だと思わせてよ。
そんな気持ちも声にできなくて。
ただ、波の音が聞こえてくるだけで。
ふたりの足跡が波に洗われていくだけで。
入りこんだ砂の粒は
心の中で澱となり沈んでゆく。

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コラム by あおい
数年前のある日、感じた事をふとつぶやいてみたら31文字だった。
その日から、想いを表現しようとすると何故か短歌になった。
日々の些細な出来事や感じた事を短歌で表現していきたいなと思っています。
二十二首 - 空を見てあなたを想い手を見つめあなたを想うある雨の朝
あおいのコイノウタ

空を見てあなたを想い手を見つめあなたを想うある雨の朝 台風のような激しい雨粒が窓にうちつける。
灰色がかった雲がすごい速さで流れていく。

7月、午前5時。
少し濃いめに淹れたアールグレイ。
風に流されていく外の景色。

あなたはどこで何をしているのだろう。

ゆったりと広がるマグカップの湯気。
私ひとりだけがこの世界に残されたような錯覚。

あなたはどこで何をしているのだろう。

すべてを打ち消すようなこの雨が、
私の心をリセットしてくれればいいのに。

あなたはどこで何をしているのだろう。
あなたはどこで何をしているのだろう。

つぶやいた言葉は雨に打ち砕かれる。
頬伝う涙は風に流される。
私の気持ちは空を彷徨い続ける。

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コラム by あおい
数年前のある日、感じた事をふとつぶやいてみたら31文字だった。
その日から、想いを表現しようとすると何故か短歌になった。
日々の些細な出来事や感じた事を短歌で表現していきたいなと思っています。
二十一首 - 雨薫り映えるクチナシ夾竹桃これからふたり歩む水無月
あおいのコイノウタ

雨薫り映えるクチナシ夾竹桃これからふたり歩む水無月 雨が静かに降っている。


サムシング・ブルー
ブーケの中に忍ばせた青い小花。

サムシング・オールド
祖母から母に伝わった真珠の指輪。

サムシング・ニュー
レースをふんだんにしつらえた長いヴェール。

サムシング・ボロウ
従姉妹が使用した手作りの髪留め。


「雨の日は、緑も花も色濃くみえるね」
あなたは窓の外をみつめながら私に語りかける。
そこに見えるのは雨粒に濡れた白いクチナシと赤い夾竹桃。

今日はゴールではなく、スタートなんだと心の中で再確認する。
「これからよろしくね」
「こちらこそよろしくね」
お互いそっと微笑みあう。

病めるときも健やかなるときも。
手をつないでいるときも、ケンカしたあとも。
今日のこの景色を忘れずにいたいものだね。

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コラム by あおい
数年前のある日、感じた事をふとつぶやいてみたら31文字だった。
その日から、想いを表現しようとすると何故か短歌になった。
日々の些細な出来事や感じた事を短歌で表現していきたいなと思っています。
二十首 - 強がりの言葉も態度もプライドも涙で薄まる失恋珈琲
あおいのコイノウタ

強がりの言葉も態度もプライドも涙で薄まる失恋珈琲 失恋した。
失恋した。
失恋した。

いつものカフェへ駆けこんで、
店の一番奥、柱の陰になる席に腰をおちつける。

オニキス色の珈琲に
真っ白な角砂糖をひとつ。

ひとくちめはゆっくりと、
ふたくちめは大きく喉に流しこむ。

鼻腔に抜けていく豊かな香り。
そしてゆるむ、私の涙腺。

店内にはかすかにボサノヴァが流れ、
ささやくような歌声が肩の力をゆるめてくれる。

もう頑張らなくていいんだよ。
肩肘はらなくていいんだよ。
明日になれば
今日のことはすべて過去になるのだから。

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コラム by あおい
数年前のある日、感じた事をふとつぶやいてみたら31文字だった。
その日から、想いを表現しようとすると何故か短歌になった。
日々の些細な出来事や感じた事を短歌で表現していきたいなと思っています。
十九首 - 淡色のサクラの花弁が舞いおちる僕の上にも君の上にも
あおいのコイノウタ

淡色のサクラの花弁が舞いおちる僕の上にも君の上にも 冬の間は陰をひそめていた桜並木が生命を得たように華やぎ、
世界をすべて春色にかえてしまった。

君は少し薄着になって
僕の3歩前を軽やかに歩く。

君をつつむ白いシフォンの生地が
風をうけてふわふわとなびく。

足元には黄色い蒲公英。
空には桜。

もし
幸福というものが目に見えるのなら
この世のすべての人に
ふりそそぎますように。
君の上にも。
僕の上にも。

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コラム by あおい
数年前のある日、感じた事をふとつぶやいてみたら31文字だった。
その日から、想いを表現しようとすると何故か短歌になった。
日々の些細な出来事や感じた事を短歌で表現していきたいなと思っています。
十八首 - ただ黙り君は手櫛で髪を梳く丸まる私は仔猫そのもの
あおいのコイノウタ

ただ黙り君は手櫛で髪を梳く丸まる私は仔猫そのもの あなたの首筋の香りに安心してしまって、
私は睡魔の誘いに身をまかせることにした。

見た目よりがっしりした膝をしているんだな、
なんて考えながら
夢と現実を行き来する。

雨の日にやってきた仔猫のコウメも
嫉妬したのか、あなたの膝の上。

あなたは右手に発泡酒の缶を持ちながら、
左手で私の髪を梳く。

あまりの心地良さに
私とコウメはそろって目を閉じる。

私たちを包む大きな手のひら。
夢の中で、私もあなたの猫になる。

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コラム by あおい
数年前のある日、感じた事をふとつぶやいてみたら31文字だった。
その日から、想いを表現しようとすると何故か短歌になった。
日々の些細な出来事や感じた事を短歌で表現していきたいなと思っています。